略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
結は、俺の腕の中で泣いた。

泣き続けて、涙が涸れた頃、俺は

「ゴメン、俺が余計な事、言ったから…」

と謝った。

結は、黙って首を振った。

俺は、そのまま膝から崩れ落ちてしまいそうな結の肩を抱いて、駅前からタクシーに乗った。

「伊藤、お前、大丈夫か?
今夜、1人は辛いだろ?
眠るまで、一緒にいてやるよ。」

俺はタクシーの中でそう言って、結の肩をしっかりと抱いた。


結の部屋に着くと、俺は結の肩を抱いたまま、部屋に入った。

部屋の中央にあるローテーブルの前に結を座らせると、

「冷蔵庫開けるぞ。」

と断って、結に水を飲ませた。

結が水を飲むと、

「ほら、シャワーを浴びて来い。」

と結を風呂へ押し込んだ。

結が風呂から上がると、

「はい、ここに座って。」

と、またローテーブルの前に座らせて、ドライヤーで髪を乾かしてやる。

結からは、シャンプーのいい香りが漂ってきた。
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