略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
俺は、湧き上がりそうになる情欲に蓋をして、

「じゃあ、もう寝ろ。
嫌な事は、寝たら忘れるから。」

と言って、結をベッドに寝かせ、俺はその傍に座って、結の手を握った。

俺の方を向いて横向きに寝る結の閉じられた目から、涙の雫が筋になって枕を濡らしていく。

俺は、右手で結の手を握り、反対の手で、結の頭を撫でた。

しばらくそうしていると、落ち着いたのか、結がすぅすぅと寝息を立て始めた。

結…

俺は、涙に濡れた瞼に、そっと唇を寄せた。


結…

泣くのはもう終わりだ。

俺が、必ずお前を幸せにするから。

だから、早く忘れて、俺を好きになれ。




俺は、明日の朝の結に向けて、置き手紙を書いて、結の部屋を後にした。



『おはよう。
目、大丈夫?
よく冷やせよ。
鍵は、郵便受けに。
─── 天 ───』




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