略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「人の体重、勝手に当てないでよ!
女の体重、推測するなんて、最低ね。」

結が怒る。

「持ったら分かるんだから、
しゃーねぇじゃん。」

俺が言うと、結は、ぷいっと無視して、勝手に歩き出した。

「あ、おい、待てよ!」

俺は慌てて追いかける。

「ごめん。悪かった。
なぁ、機嫌直せよ。」

それでも無視して歩き続ける結に、思わず、

「結!」

と叫んでいた。

心の中だけで呼んでた結の名前。

結は驚いたように足を止めた。

「結、行くな。」

俺は、結を後ろから抱きしめた。

結、好きだ。

そう言えたら、どんなにいいだろう。

でも…

今は、まだダメだ。

俺は、結にとって、ただの同期でしかない。

この数週間で、距離は縮まったが、所詮、嫌いな同期から、気の置けない同期になったくらい。

結にとって、俺はまだ男じゃない。
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