略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「俺は寂しいわぁ。お前らの夫婦漫才が
見られなくなると思うと。」

「春山さん!
そこは、私に会えなくて寂しいんじゃない
ですか?」

「俺は、宮本じゃないから、そこまで伊藤に
思い入れはないし。」

「ええ!?
それでも6年も一緒にいるんだから、なんか
あるでしょう?」

「ま、とりあえず、結婚式には呼べよ。」

「はい。」

「じゃ、俺、タバコ吸いたいから、先行くな。」

そう言って、慌ただしく、春山さんは去って行った。

「お前、ほんとに結婚すんの?」

「うん。」

「この前、気持ちが変わったって、言ってた
じゃん。
ほんとに、今の気持ちのままでいいのか?」

「………社食でする話じゃないから。」

「じゃあ、帰り、飲みに行こう。
ちゃんと聞いてやるよ。」

「うん。」

その後、俺たちは、黙々と食べて、社員食堂を後にした。

絶対に結は渡さない。

結だけは、誰にも譲れないんだ。
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