略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「今すぐ、とは言わない。
もし、お前1人で別れ話ができないなら、
俺も一緒に頭を下げる。
結の事は、一生、俺が全力で守るから。
心配しないで、俺について来て欲しい。」

俺が真剣に結を見つめると、結も俺を見つめ返してきた。

すぐに否定しないって事は、揺れてるって事だよな?

「天の気持ちは分かった。

だけど、私の気持ちは、分からないの。

だから………

もう少し、考えさせて?」


「ああ、もちろん。」

結は、否定しなかった。

分からないって事は、俺に気持ちがあるかもしれないって、自分で認めたんだ。

俺たちは、ここからだ。


俺たちは、グラスの酒を飲み干して、店を後にした。

俺は、結の手を握った。

結は、振りほどくこともなく、素直に手を引かれて、駅まで歩いた。

ほら、結、やっぱり、俺の事、好きだろ?

今夜は迷子防止じゃない。

それでも、手を繋いで歩くなんて、好きな男とじゃなきゃ、しないだろ。
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