学生二枚
 僕は何をしているか少し彼女を観察してみた。

 けど、動かない。

 妙なことに彼女はピクリとも動かない。人間はこんなに動かないものなのかと思うくらいに。

「高志こんな所で何してんだよ。女の子でもいたのか?」

 心臓が止まるぐらいドッキとした。

 後ろを振り返ると光三が勝ち誇った顔で僕の体に抱きついていた。

「いや、ほらあそこに。」

 僕は土手に立っている彼女を指差して言った。

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