学生二枚
「何処?」

「だから、そこの土手に立ってる人。」
 光三は目を皿にして僕の指差した辺りを見た。

「人なんか立ってないぞ。お前幽霊でも見てるんじゃないか?」

「えっ、そんなはずわ…。」

 僕はもう一度土手の辺りを見た。

 僕は目を疑った。

 彼女の姿はもうなかった。

 いや、姿がなかったと言うよりはあの場所に彼女がいた雰囲気さえもうなかった。
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