学生二枚
 どうしたんだ。遠くの方からサイレンが聞こえる。

 サイレンの方を向いてみた。でも、向いても何も見えない。

 それ以前にさっきまで薄明るかったはずの帰り道が今では真っ暗闇になっている。

 まぁもう冬だし。夜になるのが早いのは当たり前か。

 そんな事はある訳がない。いくら冬と言えどもほんの何秒かでここまで暗くなる訳がない。

 周りに意識が向いていた分自分の指から腕そして足先まで動かないのに気が付いたのは何分後だっただろか。

 いや、長く感じただけで本当はもっと短かったかもしれない。

 辺りはまだ真っ暗で、不意に底なしのマンホールに落ち続けているような感じだった。

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