学生二枚
 何もない場所からただサイレンの音だけが近付いて来た。何もない場所からゴムの焦げた臭いがする。何もない場所からぼやけた一筋の光が現れた。

 それは白ではなく血のような真っ赤だった。

 段々何もない闇から光がうっすらと目にこぼれて来た。そして、最初に見えた物はひんやりと冷たいコンクリートだった。次に白と赤の車多分救急車だろう。

 意識がもうろうとする中でそんな事を考えていた。

 車の屋根にクルクル回っている。

 赤い光が催眠術かの様にまた、僕を何もない場所に連れて行った。

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