私のクマさん

それから玖馬は、
たまに廊下ですれ違ったりすると
律儀にあいさつしてくれた。


でも、それだけ。

ただそれだけの存在だった。

私的にも、
ちょっと顔見知りの後輩
程度の認識でしかなかった。




だから大学3回生の時、
サークルの飲み会で急に
「ガムテープ先輩!」
と呼ばれた時はすごく驚いた。


何年か経っているし、
私はほぼそのほどを忘れていて。

玖馬に説明されて思い出して、
そこで初めてお互い自己紹介をした。



私たちのサークルは
スノーボードサークルだったけれど、
夏は海に行ったり、バーベキューしたり、
飲み会も頻繁にあって
結構仲のいいサークルで。

そういうイベントとかも通じて
玖馬とはどんどん仲良くなっていった。




そして私が大学4回生の時、
就職も決まって
授業もほぼなくて
バイトばっかりしてて、

サークルからもちょっと足が遠のいていて、

そんな時に急に玖馬に飲みに誘われた。




そこで告白された。



そんなに鈍感な方でもない私は、
なんとなく
玖馬の私に対する好意的な空気は感じていて。


私も玖馬の事は嫌いじゃないし、
なにより
ちゃんと告白をしてくれた事に感動して
お付き合いを了承した。




それから私は就職して、
社会人と学生のカップルになった。



でも特に喧嘩や別れの危機とかもなく。

そのうち玖馬も大学を卒業して社会人に。



そのタイミングで一緒に住み始めた。




一緒に暮らし始めてすでに2年。

つまり私はすでに27歳なわけで。
くまは25歳なわけで。


さすがに27歳の誕生日は
プロポーズされるかな
って期待したりしたけど

そんなことは特になくスルー。



それならもしかして
玖馬の25歳の誕生日かな?
と思ったけど

それもスルー。



クリスマスもバレンタインも
年末年始も記念日もスルー。


という事で、
今年も結婚はなさそうな今日この頃。



だからといって、
別に不満があるわけではない。


結婚願望がないわけじゃないけど、
特に焦ってもないのが今の状況。


くまと別れる想像もつかないし、
別にそんなに
焦らなくてもいいかなって思っている。

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