私のクマさん

「あれー?みつー?」


うっすらと
くまが私を呼ぶ声が聞こえる。

ドラマが終わったのか、
CMに入ったのか。

私がいない事に気付いた模様。




「みつー?お風呂ー?」


「そーだよー。くまも入るー?」



脱衣所から声が聞こえて応える。



「入りたいけど
まだドラマ終わってないから見るー!」


「はーい、りょーかい」



そう言うと、
トタトタとリビングに戻っていく玖馬。


彼は、
常に私にベッタリと言うわけではない。


でも、
私が何処にいるかは確認したがる。



集中すると周りが見えなくなる彼は、
そーなるとすぐに私を見失う。

そして、
私がいない事に気がついて探す。



そんなところが
無性に可愛く感じる私は、

きっと彼にベタ惚れなのだろう。



もう付き合って5年目になるのに
それは変わらない。



むしろ
好き合った当初の気持ちの大きさから考えると、
私の気持ちは
少しづつ確実に大きく
成長しているように感じる。



でもそれはきっと玖馬も同じで

私達がお互いを想っている気持ちの大きさは
きっと同じぐらいなんじゃないかな?
と自惚れじゃなく思っている。



玖馬は
愛情表現を惜しみなくしてくれるから、
私は特に
不安に思う事なく過ごしているけれど。


もしかしたら
玖馬は違うかもしれない。


私は
素直に愛情表現するタイプではないから。



ツンデレと言うには
デレてもないし
ツンツンしてもいないけれど。



どちらかというと
母親のような愛情表現をしてしまう。


世話を焼くというか、
なんというか。



尻に敷いているわけじゃないけれど、
それに近い感じかもしれない。

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