私のクマさん

周囲からの印象


「…え?なにそれ?のろけ?」


そう言って眉間にしわを寄せているのは、
同期の奈々。


短大卒で入社した彼女は
玖馬と同じ歳なのだが、
同期という事で特に敬語を使うこともなく、
仲良くしている友達の1人だ。



「いや、
最近彼氏とどうなの?って聞くから。
昨日の出来事話しただけだけど」



質問してきたのは奈々の方だし、
私としてはのろけたつもりはない。



「いやいや、
独り身の私にはのろけにしか聞こえないわー。
いいなー。くま君。可愛い、癒し」



何回か玖馬に会った事がある奈々は、
玖馬がとてもお気に入りだ。



「はじめ彼の話聞いた時は、
大学生って事に驚いたけどさー。
今となっては
イイトコの営業マンだもんねー。
そのくせあの性格だもんなー。いいなー」




奈々からすると、
玖馬ののんびりした性格で
営業をしてるって事が意外らしい。


玖馬の大学時代から知っている奈々は、
きっと玖馬は就職できずに
フリーターコースだって
ずっと私を脅していた。



「まーねー。
私も最初はビックリしたもんなー。
まさかあんな
イイトコに就職できるとはねー」


「世の中わかんないもんだよねー。
くま君、
仕事はしっかりやるタイプなんだねー!
仕事してるところ見れないのが残念だわー。
みてみたいー!」



「いや、奈々絶対笑いたいだけでしょ」



「…ばれた?」


「……まぁ確かに、
くまがハキハキ喋ってるところとか
ちょっと見てみたいけどね」


「でしょ?」




玖馬が務めているのは有名な不動産会社で、
玖馬が担当しているのは
企業向けのテナントの営業らしい。


つまり
営業相手も
きちんとした会社員ばかりなわけで。


そんな相手と
しっかり会話をしてる様子は、
ちょっと想像ができない。



ちなみに私は、
そこそこ有名な証券会社の
本社の受付をしている。

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