極上御曹司の愛妻に永久指名されました
このままここでボーッと突っ立ってるわけにはいかない。
耳に聞こえるのはハー、ハーという自分の息遣いだけ。
でも、それが段々大きく聞こえて頭がおかしくなりそうだった。
誰か……。
そう思った時、ポケットのスマホがブルブルと震えた。
無造作に手を突っ込んでスマホを取り出せば、風間からの着信。
通話ボタンを押すと、彼の声が聞こえた。
《お前、今日タクシーで帰らなかったって?大丈夫なのか?》
「だ……いじょうぶ……じゃ……ない」
どんなに息を吸っても息苦しい。
なんで……?
《真野?どうした?》
「たす……け……て」
風間の問い掛けに、そう答えるのがやっとだった。
意識も朦朧としてきて、身体がふらついた。
そのまま体勢を立て直せず、地面が目の前に迫ってきて……。
私の記憶はそこでプツッと途切れた。
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