極上御曹司の愛妻に永久指名されました

「俺のマンションまで」
その言葉をぼんやり聞きながら、シートに身を預けた。
車が発進して、家が遠ざかる。
それを見て心が落ち着いた。
家が怖いと思うなんて……。
私……相当病んでるな。
それに、家族への不信感もある。
「……迷惑かけてごめんなさい」
小声で謝るが、ふたりは同じタイミングで「迷惑だなんて思っていない」と優しく返した。
「家には今日は帰らないって連絡しておいたら？」
長谷川の言葉にコクッと頷く。
「うん、そうだね」
すぐにスマホを取り出して、【今日は友達の家に泊まる。あと、明日も一泊で京都出張】と短く母にメールを打った。
途中、コンビニに立ち寄り下着と化粧品を買って、風間のマンションに向かう。
自宅以外の場所に行けるならどこでも良かった。
赤坂にある四十五建ての高層マンションの前で車は停車。