極上御曹司の愛妻に永久指名されました
グレーのスェットスーツは、風間のものなのか大きくて三回ほど裾を折り曲げた。
「これだけ折ってもぶっかぶか」
男の人の洋服を着るって初めてだ。
そもそも、男の人の家にお邪魔したのも初めてだし……。
「何も考えずに風間の家に来ちゃったけど、今更ながら緊張してきた~」
あいつに襲われたらどうしよう〜。
でも……よくよく考えてみれば、寝室もバスルームも別々だし、彼が私をどうこうすることはないよね。
あいつに言ったら"自意識過剰"って笑われそうだ。
私なんか相手にしなくても、風間ならどんな女でも選べる。
「……なんの心配してんだか。私って馬鹿だなあ」
ハハッと笑って鏡を見た。
なんか疲れた顔してる。
歯磨きをすると、すぐに寝室に戻り、キャリーバッグに荷物を詰め込んだ。
スマホの時刻表示を見れば、もう午前零時すぎ。
< 108 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop