極上御曹司の愛妻に永久指名されました

花が似合う男ってなかなかいない。
しばらく歩くと、竹林に囲まれた数寄屋造りのお屋敷が見えて来た。
「ここだ」
門の前でインターフォンを押すと、着物姿の五十代くらいの女性が出てきた。
風間が名前を告げたら、門をくぐって庭園の方に案内される。
どこかのお寺の庭園のように見事で、池があり、橋がかかっていてとても優美だ。
東京の六義園くらいの広さはありそう。
これが別荘ってかなりのお金持ちに違いない。
池の鯉に餌をあげている和服姿の七十歳の老人に風間が声をかける。
「鎌田のおじさん、ご無沙汰しております」
風間の声に反応してその老人が振り返った。
「おお。来たか。風間のボンも大きなったなあ。で、横にいるのが、お前さんの婚約者か？」
老人はニコニコしながら私に目を向ける。
この人……元総理大臣の鎌田孝蔵だ。
風間、元総理に会うなら会うって言ってよ。