極上御曹司の愛妻に永久指名されました
鎌田元総理は目の前の枝垂れ桜を見て微笑んだ。
桜の前には茶席が用意されていて、風間と一緒に腰を下ろすと、抹茶と和菓子が運ばれて来た。
和菓子を見て思わず笑みがこぼれる。
「わあ、キレイ~」
それは桜の形をした生菓子だった。
桜を見ながら抹茶とお菓子を頂くなんてなんて優雅なんだろう。
しかも場所は京都。
今年は就職した会社が買収されるわ、風間に勝手に秘書にされるわ……ゴタゴタ続きで、花見をする余裕もなかったよ。
「親父さんの具合はどうや?」
鎌田元総理は和菓子を食べながら風間に目を向ける。
「年末に手術を受けましたが、経過は良好です」
「来年は親父さんと一緒に来たらええ。ひょっとしたら、ちっこいのが一緒かもしれんなあ」
ハハッと鎌田元総理は豪快に笑うが、私は笑えなかった。
ちっこいのって……赤ちゃんってこと?
ない、ない、ありえない!
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