極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「真野、目を開けろ!黒沢なんていない」
黒沢さんは……いない?
風間の言葉にパチッと目を開けると、彼が真剣な顔で私を見つめている。
暴れたせいか息苦しくて、肩を上下させながら呟いた。
「……夢?」
「ああ。ずっとうなされてた。大丈夫か?」
風間が心配そうな顔で私の乱れた髪を直す。
そんな彼の顔をボーッと見ながら、夢で良かったと思った。
「……黒沢さんに襲われるかと思った」
あれが現実だったら……そう思うと恐怖を感じ身体が震えた。
風間の背中に腕を回してしがみつくように強く抱きついた。
誰かに助けてほしかった。
「大丈夫。黒沢はいない」
彼は私の耳元で優しく告げ、落ち着かせようとする。
「怖かった」
目の前にいる風間にすがらずにはいられない。
ひとりじゃないって安心したかった。
「ああ、怖かったな」
彼はそう相槌を打って、私の身体を包み込むようにギュッと抱く。
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