極上御曹司の愛妻に永久指名されました
10、彼はやっぱり嫌な奴
「次は終点東京〜」
新幹線の車内アナウンスを聞いて気が重くなる。
次の日の夕方、私と風間は関連会社の視察を終え、帰りの新幹線に乗った。
京都駅で和菓子を買って新幹線に乗ったまではよかったのだけど、名古屋を過ぎた辺りから、身体が徐々に緊張してきた。
京都出張があったから黒沢さんから逃げていられたけど、結局これから自分の家に帰るのだ。
問題を先延ばしにしていただけで何も解決していない。
もう逃げられない。
家に帰りたくないな。
出来ればずっと京都にいて現実を忘れたかった。
姉のようにひとり暮らしができたらいいのに。
でも、引っ越したアパートに黒沢さんが現れたらどうするの?
私にはもう逃げ道なんてどこにもない。
このまま黒沢さんに追い詰められて、しまいには結婚させられるのだろうか?
そんなの……絶対に嫌。
「……野、真野」
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