極上御曹司の愛妻に永久指名されました
タクシーが自宅兼カフェの前で停車する。
黒沢さんの車があるかと思っていたけど、ラッキーなことに彼はいないようだ。
これなら安心して帰れる。
「風間、送ってくれてありがとう。黒沢さんはいないみたいだし、私ひとりで大丈夫」
明るく笑って見せるが、私がタクシーを降りると、彼もタクシーの運転手に「少し待っててください」と声をかけた。
「あの……本当に大丈夫だから」
風間を気遣ってそう主張するが、彼もタクシーを降りる。
「そんな青白い顔で言われても全然説得力がない」
風間は私の手を引いてカフェの方のドアを開けた。
「あっ、私のキャリーバッグおろさなきゃ!」
ドアの前で立ち止まるも、彼はクールな顔で「必要ない」と私の手を引いてカフェに入る。
必要ないってどういうこと?
彼に説明を求めようとしたら、父と母が私に気づいた。
「紫、お帰り〜」
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