極上御曹司の愛妻に永久指名されました
うちの親は娘の交際についてはかなり寛大らしい。
まあ、自由奔放なお姉ちゃんにもあまり説教はしないもんね。
両親は風間がいるからか、黒沢さんのことは一切口にしない。
それから、母と一緒に私の部屋に行って大きなスーツケースに数日分の着替えと化粧品を詰め込むと、母に言われた。
「今は風間さんとお付き合いしてるのね。紫は何も言わないから困っちゃうわ」
母はフフッと笑うが、私は母のその言葉に少しムカッとした。
今は……って、過去に誰とも私は交際なんかしていないよ。
だが、ここで訂正しても疲れるだけ。
風間のことだって嘘だけど、彼は私が黒沢さんと会わずに済むよう逃げ道を作ってくれたんだと思う。
ここは風間の作戦に乗ろう。
黒沢さんがうちのカフェに通い続ける限り、この家には帰りたくない。
今だってこうしている間にも黒沢さんが来るんじゃないかってビクビクしている。
< 149 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop