極上御曹司の愛妻に永久指名されました

そう言い訳すると、再び風間と待たせていたタクシーに乗り込んだ。
両親も見送りに出てきて、タクシーが発進してもしばらく手を振っていた。
とりあえず、これで両親は私が黒沢さんと交際していると思わなくなるだろう。
これは黒沢さんから逃れる大きな一歩だ。
タクシーは風間のマンションの前で停車し、彼の部屋に入るが、また別の意味で緊張してきた。
一昨日もここに来たけど、その時は精神的にボロボロであまり風間を意識しなかった。
何も考えずにここに来てしまったけど、ビジネスホテルとかに泊まるという手もある。
玄関で靴を脱ぐ風間に目を向けた。
「私……やっぱりホテルに泊まる。風間にも迷惑かけちゃうし」
「ホテルだってただで泊まれるわけじゃない。お金はあるのか？それに黒沢に跡をつけられて襲われたらどうする？」
風間に聞き返されて「それは……」と言葉に詰まった。