極上御曹司の愛妻に永久指名されました
からかっているような口調なのに、その目はまっすぐに私を見つめていて、彼が何を考えているのかわからず狼狽えてしまう。
「……冗談でしょう?」
後ろにのけ反りながら問えば、彼は曖昧に微笑んだ。
「さあ、どうだろうな」
「もう!人を馬鹿にして!」
ムッとして彼の胸をドンと叩くと、靴を脱いで家に上がった。
風間はハハッと笑い、私のスーツケースを一昨日私が寝た部屋に運ぶ。
「真野の部屋は、前に使ってくれたこの部屋だ」
「……ありがと」
仏頂面で形ばかりの礼を言えば、風間は私の頬に触れた。
「まずはシャワーでも浴びて着替えろよ。酷く疲れた顔をしてる」
触れられた頰が熱い。
こいつといると、自分が自分でなくなりそう。
「それはどうも!」
彼の手を振り払って、ドアを閉めて、ベッドに突っ伏した。
黒沢さんからは逃げられたけど、私はもっと危険な状況にいるのではないだろうか?
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