極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「真野ってそそっかしいよな。見てるこっちが冷やっとする」
「……ごめんなさい」
風間の質問に狼狽えた……なんて言えなかった。
それを言ったら、彼を意識してるって告白しているようなものだ。
風間を直視できず、火傷した手をじっと見つめながら謝る。
十五分くらい流水で患部を冷やした後、彼が救急箱を持ってきて軟膏を塗ってくれた。
「そんなに酷い火傷じゃないと思うが、明日の朝も痛むようなら病院へ行こう」
「ありがとう。でも、皮とかめくれてないから、大丈夫だと思う」
あまり気を使わせたくなくてそう返答したら、風間は少し厳しい顔になる。
「その判断は俺がする」
「ちょっと、何様のつもり!」
語気を強めて抗議したら、彼は悪魔のように微笑んだ。
「お前の上司でこの家のご主人様だ」
前言撤回。
こいつはやっぱり嫌な奴よ!
風間をじっとりと見て、心の中で罵った。
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