極上御曹司の愛妻に永久指名されました
画面を見れば知らない番号からの着信。
出ないつもりだったのだけど、スマホを持った時に誤って通話ボタンに触れてしまう。
あっ、押しちゃった!
変なセールスの電話だったら嫌だな。
スマホを恐る恐る耳に当てれば、よく知った声が聞こえてきた。
『俺から逃げられると思うなよ』
それは黒沢さんの声。
慌ててボタンを押して電話を切る。
電話が鳴るまでずっと黒沢さんのことを考えずにいられたのに、一気に現実に戻された。
恐怖で身体が震える。
私の携帯の番号、彼に教えてなかったのにな。
きっとお姉ちゃんが教えたのだろう。
「真野?早くしないともう迎えの車が来るぞ」
風間に声をかけられてビクッとする。
落ち着け。
風間の家にいるんだもん。
黒沢さんが私に近づけるわけがない。
大丈夫。
そう、大丈夫だよ。
「あっ、ごめん。今、行く」
咄嗟に笑顔を作って返事をするが、風間は訝しげな顔をする。
< 165 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop