極上御曹司の愛妻に永久指名されました
旅館から少し歩くと浜辺があって、近くの流木に腰を下ろした。
静かな波の音に心も癒される。
だが、ひとりになると、黒沢さんのことが頭を過った。
最近、彼は電話をかけてこない。
そのことに安心するも、少し不気味さを感じていた。
ひょっとしてもう別の女の子を見つけてアプローチしているのかも。
ここには黒沢さんはいない。
伊豆に来てまで彼のことを考えるな。
そう自分に言い聞かせて、じっと海を眺めていたら、風間の声がしてビクッとした。
「こんな深夜にひとりで出歩くな。誰かに襲われたらどうする?」
「ごめん。外の風を吸いたくなって」
なんだか今日は彼に謝ってばっかりだな。
「だったら俺か長谷川を呼べ。危ないだろ」
学校の先生のように風間に注意され、小さく返事をする。
「……はい」
「本当にわかっているのか怪しいな。お風呂でのことで落ち込んでいるのか?」
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