極上御曹司の愛妻に永久指名されました
そんな話、初めて聞いた。
でも、思う当たる点はいくつかある。
両親は姉の顔色をいつもうかがっているし、姉の好きなようにさせている。
母は買い出しと言って店を抜け出しては、姉の様子を見に行っているようだ。
それに……今日見た手首の傷。
あれは自殺しようとした時にできたものなのかも。
姉はプライドも高いし、理想も高い。
自分の将来に不安を感じていたんじゃないだろうか。
「……全然知らなかった」
ポツリと呟いて、姉のことを思う。
姉とは合わないってずっと距離を置いていた。
「私……姉のことを理解しようと努力すべきだった」
それは後悔。
いくら私が歩み寄ろうとしても無駄だって諦めていた。
姉とは価値観が違うとかいろいろ理由をつけて。
「お姉ちゃんは……そのまま帰ったの?」
姉のことが心配になる。
ハイテンションということは、精神が不安定な状態なわけで、また自殺しようとしないだろうか?
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