極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「うん、行ってらっしゃい。楽しんで来てね」
小春がにっこり微笑んで私を送り出すが、秘書室を出ながら首を傾げた。
お見送りを楽しむってなに?
運転手さんや長谷川もいるんですけど……。
秘書室を出ると、恭一と長谷川が副社長室から出て来た。
「時間ピッタリじゃないか」
恭一が私を見てニヤリとすれば、「秘書なので当然です」と素っ気なく言い返した。
そんなやり取りを楽しげに眺めていた長谷川が、私と恭一に向かってニコニコ顔で微笑んだ。
「じゃあ、行こうか」
三人で社用車に乗り込むが、恭一と長谷川が私を真ん中に挟んで仕事の話をする。
込み入った話で私はついていけず、思わず長谷川に席を替わろうかと声をかけたくなった。
スケジュール帳を出したのはいいが、私がメモることはなさそう。
もっと恭一や長谷川から細かい指示が出されるかと思ったんだけどな。
私……なんで同乗したのか。
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