極上御曹司の愛妻に永久指名されました
そんなことをひとり考えている間に車は東京都に着いた。
車を降りて恭一たちと新幹線の改札まで行く。
「行ってらっしゃい」
出張に行くふたりに手を振ったが、突然長谷川が持っていたスーツケースを私に手渡した。
「え?」
訳がわからずキョトンとする私に、彼は優しい笑顔を向ける。
「行くのは副社長と紫ちゃんだよ。そのスーツケースには紫ちゃんの着替えが入ってるから」
「ええ〜!」
素っ頓狂な声をあげたら周囲の視線を集めてしまい、慌てて口を押さえた。
そんな私を長谷川は面白そうに眺める。
「ふたりで楽しんで来て。メリークリスマス!」
ウィンクして去って行く長谷川。
呆気に取られながらそんな彼の後ろ姿を見送った。
メリークリスマスってどういうこと?
「楽しむってなに?」
恭一に尋ねたら、彼はクスッと笑った。
「この出張は、社長からのクリスマスプレゼントらしい。新しくオープンしたホテルの視察だが、楽しんで来いって今朝社長に言われたよ」
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