極上御曹司の愛妻に永久指名されました
だが、小春とはすごく楽しそうに話をしているのに、俺の顔を見ると彼女の表情は瞬時に曇る。
小春に向けるような笑顔を俺にも向けてほしい。
いつからか紫を見ると、そう思うようになった。
小春が『紫と来週夏祭りに行くんだあ』と話せば、俺は彼女に兄のように注意した。
『女の子だけで行ったら軟派されて危ないぞ』
『じゃあ、恭一くんたちも一緒に来てよ』
その返答は俺の意図した通り。
『仕方ないな』
フッと笑って応じる俺を見て、横にいた長谷川がクスッと笑う。
後で彼は、小春のいないところで衝撃的な言葉を口にした。
『風間って紫ちゃんのこと好きでしょう?』
『え?』
長谷川の思いがけない言葉に思考が停止した。
『キャンパスで紫ちゃんを見かけると、じっと彼女を見ているし、小春ちゃんと紫ちゃんが一緒にいても紫ちゃんの方ばっかり見てる』
俺が紫を好き……ねえ。
『確かに彼女が気になる。なんで俺に笑わないかって思ったり』
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