極上御曹司の愛妻に永久指名されました
紫は俺になかなかなびかないところがアイに似ている。
紫だっていつか俺への気持ちが変わっていくはず。
アイのように……。
大学が終わるとすぐに親父の仕事を手伝うため会社に通っていたこともあり、紫との時間を持つのはなかなか難しかった。
大学ももう卒業というのに、紫にとって俺はまだ小春の従兄でしかなかった。
彼女の気持ちが俺に傾くのをじっと待つつもりだったが、そんな悠長なことは言っていられなくなった。
そんな時、紫が内定をもらった会社が不渡りを出すという情報が入り、うちの会社が買収に乗り出した。
どうやら俺が『今後の戦略にも役立つ』と親父に進言したのが決め手になったようだ。
まあ、純粋にビジネスを重視しての発言だったが、結果的に卒業後も紫との繋がりが出来た。
だが、もうじっと待ってはいられない。
卒業旅行は小春の父親を味方につけて、俺と長谷川も同行することにした。
ずっと俺と紫のことを静観していた長谷川が楽しそうに言う。
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