極上御曹司の愛妻に永久指名されました
『香港にちょっと夕食食べに行かない?』とか、『好きなもの何でも買ってあげるよ』とか私が店の手伝いをしていると、声をかけてくる。
でも、うちの親の前では紳士的に振る舞っていて、私が黒沢さんのことを悪く言っても、信じてもらえない。
黒沢さんのジョークだと思っているのだ。
「……まあ」
曖昧に答えて通り過ぎようとしたら、彼に腕を掴まれた。
「せっかくだから旅行の話聞かせてよ」
触れられて、ゾワゾワッとする。
「すみません。疲れてるんで」
そう断って、黒沢さんの手を外し、二階へ逃げた。
リビングにあるソファに座ってハーッと息をつく。
掴まれた腕を見たら、鳥肌が立っていた。
黒沢さんは生理的に受付けない。
いい気分で帰ってきたのに、彼のせいで台無しだ。
スーツケースを開けようとしたら、バッグの中のスマホがブルブルと震えた。
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