極上御曹司の愛妻に永久指名されました
取り出してみれば姉からのライン。
【パリはどうだった?冬馬、店に来てたでしょう?あんたのこと好きらしいわよ。だから紫が今日旅行から戻ること教えてあげちゃった。顔はイマイチだけど、お金は持ってるから付き合っちゃいなさいよ】
その文面を見て、怒りが込み上げて来た。
お姉ちゃん、何勝手なこと言ってんの!
自分が振った男を私に勧めないでよ!
すぐに姉に電話をかけるが、つながらない。
たぶん面倒で出ないのだろう。
「お姉ちゃんの馬鹿!」
スマホに向かって罵る。
すると、買い物にでも行っていたのか、母が白いビニール袋を手に下げて戻って来た。
「さっき帰って来たんだって?何ひとりで騒いでるの?」
「何でもない」
ブスッとした顔で答えると、母は笑った。
「そんな仏頂面でいると、黒沢さんに嫌われるわよ。お店にも今いらしてるけど、あんたここにいていいの?」
< 32 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop