極上御曹司の愛妻に永久指名されました
その言葉を聞いて頭が痛くなった。
昔から両親は姉に甘かった。
初めての子だったし、顔が可愛かったせいかもしれない。
お姉ちゃんがどんなにわがままを言っても、怒ることはなかった。
私は両親を困らせたくなくて、いい子でいようってずっと頑張ってきた。
なのに、両親は姉の言葉を信じ、私の言葉は無視する。
「……反抗期なんかじゃない」
ポツリと呟いて、自分の部屋に入り、ベッドに突っ伏した。
うちの柔軟剤の匂いがする。
癒やされていいはずなのに、心は落ち着かなかった。




二日後、いつものように店を手伝っていると、ドアが開いて背の高い二人組が入ってきた。
時刻は午後五時過ぎ。
「いらっしゃいませ……あっ!」
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