極上御曹司の愛妻に永久指名されました
三人に手をあげて挨拶したら、小春に手を掴まれた。
「恭一くんがリムジン手配したから、送ってってくれるよ」
「え?でも……」
躊躇いながら風間に目を向ければ、彼はフッと微笑した。
「わざわざ満員電車に乗って帰る必要ないだろ?」
「……どうもありがとう」
風間達といると卒業旅行の続きみたい。
さっきの飲茶もいつの間にか支払いが済んでいて、そのそつのなさに感心してしまう。
また何かお返ししなきゃね。
風間達と車を待っていたら、男性がひとりこちらにやってきた。
コツン、コツンと靴音が響いたかと思えば、知った声がして身体がビクッとなる。
「紫ちゃん、迎えに来たよ」
……黒沢さん!?
彼の登場に唖然とする私。
「迎えって……なんで……?」
頼んでもいない。
しかも、私の居場所まで知っているなんて……。
気味が悪くて声が震えた。
< 58 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop