極上御曹司の愛妻に永久指名されました
風間は私を見上げて話をするが、ついまた声を上げてしまった。
「え?何それ!勝手に……あっ」
抗議しようとしたが、ここが社長室ということを思い出して口を手で塞ぐ。
「坂田社長、僕と彼女はこれで失礼します。コーヒーご馳走さまでした。流石いいコーヒー豆使ってますね」
スッと立ち上がり、風間は私の腕を掴む。
「真野、行くよ」
「へ?あっ、ちょっと……」
風間に腕を引かれ社長室を退出するが、彼がスタスタ歩くから足がもつれそうだ。
しかも、普段履き慣れないパンプス。
「風間、もっとゆっくり歩いて」
彼に声を掛けると、立ち止まってくれた。
「あっ、悪い」
「あと、腕放して」
そう要求するが、風間は放してくれない。
「却下。お前、逃げそうだから」
「そりゃあ逃げたくなるわよ。坂田物産に就職したのに、あんたの会社で働けって言われたんだもん。しかも、秘書課よ?なんでわざわざ私を風間の会社で働かせる訳?」
< 72 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop