極上御曹司の愛妻に永久指名されました
言いたくても言えない。
すぐに仕事が見つかる保証なんてないのだ。
風間なんて……大嫌い!
心の中で毒づくと、彼の姿を視界から追い出すように窓の外を眺めた。
所詮、私のような庶民はこいつの都合のいいコマのひとつでしかないのだ。
私の怒りが伝わったのか、風間はそれ以上なにも言わなかった。
十五分程で溜池山王にある風間コーポレーションの本社ビルに到着。
風間と車を降りると、目の前には天にそびえるような三十七階建ての高いビルがあった。
正面玄関を入ると受付があり、社員が風間を見て深々と頭を下げる。
……なんか昔の将軍みたいだな。
役員専用エレベーターで最上階に上がれば、そこは秘書室と役員室のあるフロアだった。
エレベーターの横がすぐ秘書室。
ドアはガラス張りで、女性がひとりいるようだ。
風間が私を連れ、秘書室のドアをノックして中に入る。
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