極上御曹司の愛妻に永久指名されました

私達を出迎えたのは五十代くらいの女性秘書。
奥にデスクが六つ並んでいて、デクスの上も部屋も片付いていて整然としている。
さすが秘書室。
「お帰りなさい。この方が副社長推薦の真野さんですね？」
その女性が私を見て頬を緩めると、風間は彼女を私に紹介した。
「ああ。よろしく頼むよ。真野、こちらは社長の第一秘書の田島さん。社長も彼女には頭が上がらない」
本当は踵を返して帰りたい。
「……真野紫です。今日からよろしくお願いします」
不承不承挨拶してペコリと頭を下げると、長谷川と小春が秘書室に入って来た。
「真野さん、来たんだ？」
長谷川が先に私に気づいてニコッとすると、小春が「え？紫？」と驚いた顔をしながら私を見た。
「わ〜、本当に紫だ」
嬉しそうに声を上げながら、小春が私の手を両手で掴む。
てっきり小春も知っているのかと思ったけど、そうではなかったらしい。