極上御曹司の愛妻に永久指名されました
腕を組んで風間を見据えると、彼は私が知らなかった小春の過去を真剣な表情で語り出した。
「小春は中学の時に女友達と揉めて一時期不登校だったことがある。それまでふさぎ込んで笑顔を見せることはなかったが、お前と知り合ってからは昔のようによく笑うようになったんだ」
「……初めて聞いたわ。その話」
小春と友達になったのは、学籍番号が近くて入学式に彼女に声をかけたのがきっかけだ。
小春は明るい性格だし、そんな辛い経験をしていたなんて信じられない。
「誰だって嫌な過去は忘れたいさ」
風間がどこか悲しげに言うと、私の近くにいた長谷川が私に目を向けた。
「風間と一緒に小春ちゃんを見守ってきたけど、紫ちゃんが彼女の友達になってからはホント明るくなったよ」
そうか。小春、大変だったんだな……いや、待て。
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