極上御曹司の愛妻に永久指名されました
この数日間、風間に振り回されて、黒沢さんのことを全然考えなかったな。
「……会社も変わったし大丈夫。店には来るかもしれないけど、親がいるところで変な真似はしないと思う」
動揺を隠しながら返すが、こいつにはバレバレのようで……。
強がってみせる私を風間は皮肉る。
「甘いな」
「兎に角、送迎はいらない。ただでさえ風間の婚約者ってことにされて目立ってるんだから」
不満を口にするが、風間は楽しげに言った。
「恋人も婚約者も大差ないだろ?」
「どっちも承知した覚えはないですけど」
ギロッと睨みつけると、やり返された。
「元はお前が言い出した話だが?」
痛いところをつかれて気詰まりを覚えた。
「うっ……それは謝ったじゃない。社長にまで嘘ついてどうするのよ!」
ここで怯んではいけないと、相手を責め立てるが、風間はどこかダークな笑みを浮かべて聞き返す。

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