極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「行ってらっしゃい。飲み過ぎには注意して下さい」
送り出してしまえば、風間にしばらくからかわれることはない。
満面の笑みで言えば、風間は面白そうに目を光らせた。
「やけにご機嫌だな。言い忘れていたが、明日の京都出張、お前に同行してもらう」
寝耳に水の話に耳を疑った。
私が同行?
出張は基本長谷川が同行することになっていたはず。
どうして私なの?
「は、長谷川がいるじゃない」
少し動揺しつつも、強く言い返せば、彼は淡々とした口調で事情を説明した。
「長谷川は別件で同行出来なくなった。そのための第二秘書だ」
「紫ちゃん、ごめんね。急に社長に用事を頼まれて、どうしても断われなかったんだ」
長谷川は風間の横で手を合わせて謝る。
社長に頼まれたのなら仕方がない。
去年の秋頃から社長は体調を崩されていて、毎日出社はしていない。
だから社長の業務を風間が引き継いでいるのだ。
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