極上御曹司の愛妻に永久指名されました

「わかりました。でも、長谷川と違って新米の私を同行させても、荷物持ちくらいしか出来ないわよ」
小さく溜め息をつきながらオーケーすれば、風間はフッと微笑する。
「ああ。経験しないと誰だって成長しない」
この笑顔が何か企んでいるようで怖いんですけど。
「紫ちゃんは、恭一の側にいてくれるだけでいいよ」
長谷川がニコニコ顔で言うが、そのフォローの言葉に引っかかりを覚えた。
私が"役立たず"って暗に言ってない？
ふたりに訝しげな視線を向ける私に風間はにこやかに告げる。
「じゃあ、明日七時にお前の家に迎えに行く」
エレベーターの扉が閉まると、額に手を当てた。
「風間と出張。しかも一泊なんて最悪だ。あ～、キャリーバッグとか小さいの買いに行かなきゃ」
急に言われても、準備ってものがあるのよ、風間の奴〜！
ブツブツ言いながら秘書室に戻り、田島さんと小春に報告する。