極上御曹司の愛妻に永久指名されました
エレベーターで地下に行き、地下鉄の駅への直結通路をカツカツとヒールの音を鳴らして歩く。
ここを歩けば、地上を出ずに駅にいける。
黒沢さんだって、流石に電車には乗らないだろう。
うちのお店の午後十時の閉店までどこかで時間を潰そう。
家の最寄り駅の近くにあるファミレスに立ち寄り、食事を頼む。
午後十時過ぎまで居続け、ファミレスを出ると外はすっかり暗くなっていた。
手に荷物を抱えトボトボ歩いていたら、店の前にあの黒沢さんの赤い車が停まっていて青ざめた。
もう店の明かりは消えている。
それなのに……まだ彼は帰っていない。
車の中にうっすら人影が見えて、身体がブルブル震えた。
黒沢さん……だ。
落ち着け。落ち着いて。
家に入れば、うちの親だっている。
必死に自分に言い聞かせるが、足が動かない。
心臓がバクバクいっている。
どうしよう〜。
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