元カノと復縁する方法
よく、眠れなかった・・

一方向へ進む人々に押し流されるように歩きながら、あくびを噛み殺した。結局昨日は何度も目が覚め、隣にぬくもりが無いことを確認していまい、十分に睡眠がとれなかった。

ビルに向かう道は軍隊のように歩くビジネスマンで一杯だ。ぼぅっとする頭で、それでも目は誰かを探してしまう。
今日は、いつもよりも早く出てきてしまった。この時間なら、多分・・

エレベーターの隙間を埋めるように乗り込む。
すると、サラリとした栗色の髪が目に入った。

あ。

旭が颯には気付かず、同じエレベーターに乗った。くるん、と揺れる髪に目が奪われる。
胸辺りまで伸ばした髪は、ストレートに見えて先だけがくるんとしている。パーマをあてているのでもコテで巻いているのではなく、これは癖っ毛。
旭は外見に気を遣っているように見えて、めんどくさがり屋だ。前髪を長く伸ばし真ん中で分けているのも、定期的に切る必要がないから。

朝も寝癖を直してブローするくらいで、颯よりも早く髪のセットが終わってしまう。

エレベーターが各階に止まり、降りる人を避けるたびに、そのくるんが揺れる。
あー。なんかやけに今日は可愛く見えるな。あのくるん。

少し視線を下にずらす。

ブラウスに、少しタイトめなニットのフレアスカート。くびれから下のラインがはっきりわかる。

あぁ。

何とも言えない気持ちになって、目を逸らし、はぁ、とため息をついた。
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