元カノと復縁する方法
「「おつかれー!!」」

ガチャン、とジョッキを合わせる。
旭の隣には「俺榛名さんの隣でもいいっすか!」と橘がさっさと座り、ちら、と俺の方を見て蓮が橘の正面に座った。
旭と俺が向かい合わせになる。

久しぶりに正面から旭を見た。毎日こうやって向かい合って食事をしていたのが遠い昔のようだ。

食いもん食いもん、とメニューを開き、適当にいくつか頼む。他、何かいる?と蓮と橘に向けてメニューを開いたところで、目を訝しげに細めて橘がこちらを見ているのに気付いた。

「・・何だよ。」

「瀬戸口さんって、いっつも榛名さんに何も聞かずに頼みますよね。」

ぎく、となり、気付く。旭が好きなだし巻きとエイヒレをもれなく頼んでしまっている事にも。

「いや、同期だから。同期飲みとかでも、こいつ、いっつも同じもの頼むし。」

「そうそう、もう今更聞かれることもなくなっちゃってー」

旭もフォローに入るが、ふーん、と橘が疑い深い目でじろりとこちらを見ている。

おら、もういいだろ、と言った所で、掘り炬燵の下で、足の先につん、と何かが当たった。



それに気付いたとき、ぐわっと何かが上がってくるように身体が熱くなった。旭が、俺のミスを咎めるように、つま先で足をつついたのだ。

こいつ、と思うが足をどける気になれず、そのままの位置に置いておく。
身体が熱くなるのを誤魔化すように、ビールを煽る。周りに隠したやり取りに、心臓がバクバク跳ねていた。
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