元カノと復縁する方法
先に榛名さんに、と桐山に促され旭にコーヒーを渡す。こちらを窺いながらも、旭はお先です、とデスクに戻っていった。

桐山の分を淹れながら、棚にもたれて並んで立つ。

颯は、安易に動けず、慎重になっていた。安っぽい言葉で、一度崩れた信頼が取り戻せるとも思わない。だからといって、どうするのがいいか。完全に、攻めあぐねていた。

コーヒーが落ちていくのをじっと見ながらそんな事を考えていると、横で、ふ、と息を漏らしたような笑いが聞こえた。

「・・何ですか」

ジロリと横目で見る。
この人が来なかったら、もう少し話が出来たのに。

「顔に出てるよ。」

楽しそうにも見える笑顔でそう言う。颯は、桐山を尊敬している。人間的にも、仕事の上でも。ただ、

「別れたんだってね」

その言葉に、自然と目が開く。

「勿体ない」

そう言って考えの読めない穏やかな笑みを浮かべる男に、颯は思った。

男としては、いけ好かない。
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