元カノと復縁する方法
「俺も残ってたから。夜、まだでしょ?」

そう言ってガサガサと袋を開ける。この近くで有名な、テイクアウトの出来るカフェのサンドイッチだ。
サーモンチーズ、というラベルに、忘れていた空腹を思い出した。くぅ、と小さくお腹が鳴る。

「俺は推進チームにいるから、終わったら声かけて」

送るよ。

いつもなら遠慮の言葉がすぐに出るはずだが、弱った心に優しさが染み、その言葉が出てこない。

というか、今言葉を出そうとすると、泣きそうだ。

その様子に気付いてくれたのだろうか。ぽん、と頭に手を置き、さっさと部屋を出て行く桐山らしい気遣いが有り難く、旭は左手でサンドイッチを持ち、頬張りながらマウスを動かした。
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