元カノと復縁する方法
お腹に栄養を入れたら、固まっていた頭と身体が解けていく気がした。

結局30分程で終わらせる事ができ、推進チームのある上の階に急ぐ。コン、コン、とノックして部屋を覗き込むと、桐山は自分のデスクでカチ、カチ、とメールをチェックしている所だった。
こちらを見て、終わった?と優しく微笑んで、彼はパタン、とノートパソコンを閉じた。


駐車場に向かう桐山に、後ろからおずおずと付いていく。送ってもらうのはこれが初めてではないが、もう他の部署の人間になった人にこんなふうに頼るのは、まずい気がした。

促されて助手席に乗り、シートベルトを着ける。スムーズな動きで車を発進させた桐山は、前を向いたまま言った。

「大変でしょ、香月さんは。」

彼女はすごく良く出来るけど、同姓には特に、同姓というだけで、自分と同じものを求めてしまうからね。

君がいるチームなら、何か、学んでくれるといいと思ってたんだけど。

そう言ってこちらをちらりと見る。

「無理させてるみたいだね。」

いえ、と即座に答える。

言葉が続かず、窓の外を見る。車通りの少ない幹線道路から見えるビルの美しい夜景。

沈黙のあと発された言葉は、少し、声色が違った。
< 38 / 64 >

この作品をシェア

pagetop