元カノと復縁する方法
「瀬戸口さん、水瀬さん、ちょっと」

秋も深まった11月下旬、橘はオフィスで、颯と蓮にこそりと声をかけた。

「今週どっかで、飲みにいったりできます?」

颯は、旭を誘わないのは珍しい、と思いながらも、いいよと頷き、その翌日には3人は居酒屋で集まっていた。

ビールをカチン、と合わせ、ぐびぐびと喉を鳴らして、料理をつまむ。
酔いが回ってきたところで、橘が口を開いた。

「・・桐山さんと旭さんって、なんかあるんですかね。」

途端に眉間に皺が寄り、やばい顔と言われたことを思い出してそれを意識的に戻す。

「なんで?」と横から蓮が聞いた。

「いやー、なーんか、たまーに広いフロアで二人が一緒になることがあるんですけど、二人の感じが・・」

「感じが?」

詰まる橘に声を落ち着かせて促すと、少し安心したように続けた。

「二人とも、目があったらペコ、って挨拶するんですけど、前は二人とも、柔らかーい感じで笑い合ってたじゃないですか。」

桐山さんは笑顔なんですけど、旭さんがね。

「無表情というか。さっさと顔そらして、で、そのあとなんですけど、」

桐山さん、ちょっとだけ旭さんの顔、見たまんまなんです。

「ほんとにちょっとなんですけど。」

「その顔が、なんていうか・・いつもの桐山さんじゃなくて、こう、鋭いというか、」

「なーんか、辛そうな顔、してるんですよね。」

颯の歪んだ顔を、橘と蓮がちらりと見る。

旭さん凝視してる俺じゃなかったら、気付かないと思います、と追加する橘に、そこ、誇んなよ、と更に顔をしかめて突っ込んだ。
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