元カノと復縁する方法
「できてるんですかね」

そう聞く橘に、知らねぇよ、と返す。はぁ、と重いため息が出た。

苦しさに我慢できず、上を向いて絞り出すように言う。

「あー・・ヤッてんのかな・・」

旭が桐山に乱される姿が脳裏に浮かぶ。嫉妬と不快感で吐き気がしそうだ。

「いや、それは無いと思います。」

もぐもぐと枝豆を噛みながら橘は言った。

「何で分かるんだよ」

「ヤッてたら、旭さん、分かりますよ。」

「はぁ!?」

真顔で言う橘に、声が裏返る。橘は唖然としている颯の顔を見て、そのまま目線だけ蓮の方に向ける。

「ね、水瀬さん。」

あー・・と蓮は発して、ちらりと俺の顔を伺いながら、口を開いた。

「榛名さんさ、」

躊躇いながら続ける。

「ただ、寝不足なのかな、って思ったんだよ。」

はじめは。

「でも、なんか、・・こう、たまに仕事の手が止まって、何か思い出すみたいな、顔してて、その顔が・・」

言おうか言うまいか迷い、そこで口を閉じる。

ウンウン、と聞いていた橘がかぶせた。

「めっちゃ、エロいんです。」

「!!!」

言葉を発せない颯に続ける。

「俺、すんません、何回か抜きました。」

「はぁ!!!?」

正直すぎる橘に、何か吹っ切れたように蓮が続ける。

「そんで、そういう日って、お前もなーんか、やらしー顔で榛名さんを見てるというか・・二人の間の空気がもう、変なんだよ。」

ほんとっすよ。うんうん、と橘が頷く。

顔がじわじわ熱くなるのが分かる。

「じゃ、・・お前、前から」

「カマはかけましたけどね。分かりますよ、あんなん。」

もーほんと、何の拷問かと思ってました。

そう言う橘にもう言葉が出せない。

「とりあえず、今んとこその気配が無いので、多分ヤッてはないです。」

羞恥と怒りと驚きがごちゃごちゃになり、颯はそれをビールで流し込んだ。
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